阿南市中心部にある橘営業所から30分。バスはひたすら田園地帯を走ってきましたが、やがて小さな切り通しを越えると、眼前に細長い入り江が広がります。その南側に延びる岬が四国本島の最東端にあたる蒲生田岬、北側に延びるのが燧岬で、こちら燧岬に終点・小吹川原の停留所があります。
小吹川原とは、このあたり椿泊集落の字であり、漁港の裏手にバスポールが立っているだけのささやかな終点です。
燧岬と蒲生田岬、二つの岬に挟まれた長い入江は天然の良港を生み出しました。それに育てられたのが、ここ椿泊の集落で、古くは阿波水軍の本拠地として知られ、今でも椿泊漁港は阿南市最多の漁獲高を誇ります。
終点の先に伸びる細い路地は、戦前の姿を今に伝える椿泊の古い家並みに続いています。バスすら拒む昔日のままの集落が瀬戸内の隅っこに残っていたのでした。
■路線概要
阿南市の南東部、紀淡海峡に面した燧岬を目指す路線です。
徳島バス阿南のターミナルでもある橘営業所からは、曜日に関わらず1日5往復・所要40分の運行。もともとは徳島バス本体の路線でしたが、昭和60年に徳島バス阿南へ移管されました。
(24年9月訪問)
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