2013年1月13日日曜日

【バス終点】宇和島自動車/本網代線

■終点:本網代(ほんあじろ) 路線図(一部違います)
由良半島の稜線に沿って走ってきたバスが海沿いの集落に降りてきたかと思うと、まもなく終点の本網代に着きます。


由良半島をはじめとする宇和海一円は真珠の養殖で知られ、ここ網代でも多くの住人が真珠で生計を立てています。バス停の後ろにも真珠小屋とよばれている共同漁具倉庫が並び、バスの真横にも養殖ネットが見受けられます。

太平洋からの風が吹き付ける半島南岸の漁村では、波が穏やかな北岸で多く見られる焼き杉住宅は数えるほどしかなく、コンクリ造の特徴的な家並みが広がります。そして網代の民家の表札をよくよくみると気付くのが「浦和」姓の多さ。

これは近世に網代浦を開発した土佐人・儀左右衛門の功績が宇和島藩に認められ、その子・万蔵に許された姓とのこと。新浦として認められたのが文化5年。2世紀以上が過ぎた今でも開拓者の子孫が代々暮らし続ける由良半島突端の小集落です。

「真珠作っとる方が儲かりますから、海沿いの者は誰も運転士などならんのです」
夜間滞泊について伺ったおり、運転士さんが快活に笑ってこう言いました。ほんとうに豊かなところです。


■路線概要
愛媛県南予地方、宇和海に面して突き出したリアス式海岸が美しい由良半島を走る路線です。
この半島の稜線は宇和島市と愛南町の境でもあり、バスは幾度も境界をまたぎつつ南北両岸にある集落を結びます。


ダイヤは1日6往復。うち1往復が宇和島との直通便で、残る5往復は半島の付け根にある須の川止まりとなっています。
特筆されるのが、毎日終点で3台ものバスが夜間滞泊するということ。終点近くに宇和島バスの運転士さんは住んでいないため、必ず3人全員が乗務員詰所で泊まるそう。古き良きローカル線の姿が残っています。

(25年1月訪問)

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