造船やタオルで知られる愛媛県今治市は、四国本土側の旧市街地に加えて、芸予諸島上の大三島・伯方島・大島などの島々をも市域に含んでいます。このような 島々を営業エリアとするのが瀬戸内海交通で、今治市本土を含めた愛媛県東予地方を広くエリアとする瀬戸内運輸の子会社です。
同社の路線で有名なのは、しまなみ海道を経由して島々と本土を結ぶ宮浦港~今治桟橋間の急行便ですが、地道に島内の公共交通を担うローカル路線の存在も忘れてはなりません。
このうち私が特にオススメしたいのが、本土から最も近い大島の島内路線でありまして、以下の3系統に大別できます。
下田水-田浦
下田水-友浦
下田水-早川
ターミナルとなっている下田水は、島の南部にある港で、かつては今治との連絡船が発着した玄関口でありました。そして、ここを出たバスは、島で最も大きな吉海の町を経て、終点の小さな集落へとそれぞれ向かっていくわけです。
ここには架橋前の路線網がそのまま残されており、それだけでも好ましいのですが、なによりも素晴らしいところはその車窓にあります。
下田水で来島海峡大橋を仰ぎ見たかと思うと、今度は吉海の町に残る狭隘路をそろそろと進み、まもなく終点の漁村へといった具合で、これはまさにイメージした通りの「島のバス」ではないでしょうか。
ちなみに趣味的に見ると、同社には四国地方で唯一となる西工58MC架装車が在籍しており、トップドアであることもあわせて嬉しい点かもしれません。
このように路線良し、車両良しの大島島内路線。今治や尾道を訪れた際は、ぜひ足を伸ばして乗車をしてみてください。