2014年8月9日土曜日

【バス終点】山梨交通/南アルプス登山バス


■終点:広河原(ひろがわら)
「広河原行きの快速です、乗りますか?」「発車、オーライ!」「お釣り、100円です。」

甲府駅発広河原行きの快速バスでは、停留所ごと、車掌さんの声が車内に響きます。

バスの車掌さん。
「となりのトトロ」の世界です。ワンマンバスが普及していない昭和中頃までは当たり前の光景だったことでしょう。しかし、私のような平成生まれにとっては、無縁なものだとばかり思っていました。


山梨交通に車掌乗務の路線があると聞いたのは昨年の春ごろ。
なんでも、南アルプス登山者向けの季節運行路線に、車掌さんが乗っているというのです。

季節限定とはいえ、きちんと路線免許の交付を受けた一般路線バスです。ボンネットバスを用いるなど、いかにもな観光路線風ではなく、ごく普通の中型車で運行されるというのも嬉しいところ。

さて、この路線のハイライトはなんといっても、芦安を過ぎて、白鳳渓谷の断崖絶壁に沿って伸びるバス・タクシー専用道。この美しくも危険な道がツーマンの理由でもあります。車掌さんと運転士さん、息のあった指差喚呼に、手際の良い無線交信で、狭隘区間での離合もなんのその、満員の登山客をしっかりと終点へと送り届けているのです。


今なお残る、正統派ツーマンバス。車窓から望む白凰渓谷の渓谷美と共に、後世まで残って欲しいバスがある風景です。

(25年6月訪問)

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