ネタバレしない感想。
<よくないところ>
尺をギリギリまで削ってテンポを上げる試みは素晴らしいが、やり過ぎ。
主人公が育った背景(虐待)の描写をカットしたことで、優柔不断な主人公に共感できない
登場人物の感情の動きが早すぎてついていけない、主人公の魅力が伝わらないうちから好意?など
設定の開示がへたくそ。致命的な遅さの設定開示がひとつあるので探してみてね。
その結果、失礼すぎるシーンで終わるルートが生まれてしまっている。
善悪のバランスが悪すぎる。フィクションの悪は愛されることもあるということを理解してほしい。
島の人間を悪く描きすぎ。共感できる余地をなくしてしまっているのが大変残念。
沖縄の文化に深く触れているからこそ、それを最終盤まで単純悪として扱ったのは悲しい。
<よいところ>
沖縄の信仰に対する造詣が深い。沖縄を舞台にする理由がきちんとある作品だと断言できる。
観光地ではない沖縄が好きなものとしては、太鼓判を押さざるを得ない。素晴らしい。
セカイ系なのにセカイ系らしくないのは、実在の文化を下敷きにしているから。
尺をギリギリまでカットした割には、日常の積み重ねがそれなりに描かれている。
ほかに割くべきとも思うが、ゼロ年代美少女ゲームのエッセンスを感じられて、個人的には好き。
少なくとも個々のシーン自体は楽しめる。(ここを切り捨てるのはかなり勇気がいるのかもしれない。)
終盤はド王道のボーイミーツガール展開。
途中まで善悪バランスが崩れていることがノイズとして乗ってくるが、最終盤では気にならないほどの力で押し切ってくる。
よくないところを吹き飛ばす感じ。終わりよければ全てよしという気持ちになれる。
日常侵食系はいいよね。
<総評>
10時間程度でゼロ年代美少女ゲームを思い出させてくれる良作。こういうのでいいんだよ。
<その他>
沖縄の離島航路であんな丁寧なアナウンスは流れません。
高認の通知に合格の文字はなかったと思う。
ドボン大富豪やりたい。でも蛇足だよねあのシーン。